あー。雪かき疲れたー。
当然やろがいってノリで毎日毎日降るからさー参っちまうんだよなー。やらないと店埋もれちゃうからやらない訳にいかんし…とほほ。
おかげで筋肉はそれなりに付いたけど、ムキムキイコール疲れ知らずのボディじゃないんだよね。あと、何もしてなくても腹減るしさ。物理的にだけじゃなくて財布まで寒くなっちゃう。困るねほんと。
「海雪さん」
炬燵入って大の字になって寝っ転がってたら、マリンがぬっと居間に入って来た。俺様よりも広範囲を雪かきしてたのに、全然疲れてなさそうだ。流石です。
「肩揉んでください」
「凝らんやろがい」
「こら。主人のお願いですよ」
凝らとこら掛けたなこいつ。
「もう主人と刀じゃないしー」
「そうですか。つまり、海雪さんは自分のではないという事ですか」
「え」
真顔でほっぺ膨らませてる。明らかに拗ねてる。
…仕方ない。可愛さに免じて折れとこう。刀じゃないけど。
「ごめんってマリン。俺様はマリンのものだよ」
「へー」
「なんか反応薄くない!?!?」
「へー。感嘆符」
「単語に頼んな!!!腹から声出しなさいよ!!!」
「へー。感嘆符。感嘆符。感嘆符」
こんにゃろめ。
「まあ冗談はさておき。嬉しいですよ、海雪さん」
そう言ったマリンは、俺様の隣にころんと寝転んだ。その上、広げてる腕に頭を乗っけてきた。
やる事なす事いつも突拍子無くて困る。やめろって言う気はないけど。
「海雪さんは自分のです。そして…」
海色の瞳に至近距離で見つめられる。
「自分は、海雪さんのです」
心臓が一際脈打つ。さっきまで寒くて仕方なかった筈なのに、逆上せそうだった。
「マリン…」
「相棒と書いてマブダチですからね。いえーい」
「ですよね」
「何がですか」
「マブダチいえーい」
「いえーい」
……いえーーーーーい!!!!!!
「海雪さん。しりとりしませんか」
「唐突だなほんと」
「自分からです。はい、しりとり」
強引に開幕すんのやめなさいよ。やるけどさ。
「りんご」
「ごま」
「マリン」
………あっ!?つい癖で!!反射的に!!
「はい海雪さんの負けー」
「違うの!マリンスノーって言おうとしたの!」
「完全にマリンで止まってましたよ」
「負けました」
誤魔化せんかったちくしょー。はいはい認めますとも。次は絶対勝つ…。
「次俺様からな!しりとり!」
「リコーダー」
「だるま!」
「マラカス」
「助っ人!」
「トライアングル」
なんでセルフ楽器縛りみたいな事してんの!?
…それからも戦いは続いた。
「スイカ!」
さっきは凡ミスやらかしたけど、良い感じに渡り合えてる!と思ってたら。
「海雪さん」
マリンは、ふわっと笑ってそう言った。
「え…えっと…ファイナルアンサー…?」
「イェス。自分の負けでいいですよ」
「なんでそんな可愛い事すんの…?」
「海雪さんがさっき自滅してたのが面白かったので、手法をパクりました」
「左様ですか…」
「楽しかったですね。しりとり」
「はい…」
やっぱりマリンには勝てないや。
内心白旗を上げながら、俺様は天井を見つめた。
…頬の火照りは、当分取れそうにない。