Humanoid/SS-3

あー。雪かき疲れたー。

当然やろがいってノリで毎日毎日降るからさー参っちまうんだよなー。やらないと店埋もれちゃうからやらない訳にいかんし…とほほ。
おかげで筋肉はそれなりに付いたけど、ムキムキイコール疲れ知らずのボディじゃないんだよね。あと、何もしてなくても腹減るしさ。物理的にだけじゃなくて財布まで寒くなっちゃう。困るねほんと。

「海雪さん」

炬燵入って大の字になって寝っ転がってたら、マリンがぬっと居間に入って来た。俺様よりも広範囲を雪かきしてたのに、全然疲れてなさそうだ。流石です。

「肩揉んでください」

「凝らんやろがい」

「こら。主人のお願いですよ」

凝らとこら掛けたなこいつ。

「もう主人と刀じゃないしー」

「そうですか。つまり、海雪さんは自分のではないという事ですか」

「え」

真顔でほっぺ膨らませてる。明らかに拗ねてる。
…仕方ない。可愛さに免じて折れとこう。刀じゃないけど。

「ごめんってマリン。俺様はマリンのものだよ」

「へー」

「なんか反応薄くない!?!?」

「へー。感嘆符」

「単語に頼んな!!!腹から声出しなさいよ!!!」

「へー。感嘆符。感嘆符。感嘆符」

こんにゃろめ。

「まあ冗談はさておき。嬉しいですよ、海雪さん」

そう言ったマリンは、俺様の隣にころんと寝転んだ。その上、広げてる腕に頭を乗っけてきた。
やる事なす事いつも突拍子無くて困る。やめろって言う気はないけど。

「海雪さんは自分のです。そして…」

海色の瞳に至近距離で見つめられる。


「自分は、海雪さんのです」


心臓が一際脈打つ。さっきまで寒くて仕方なかった筈なのに、逆上せそうだった。

「マリン…」

「相棒と書いてマブダチですからね。いえーい」

「ですよね」

「何がですか」

「マブダチいえーい」

「いえーい」


……いえーーーーーい!!!!!!


「海雪さん。しりとりしませんか」

「唐突だなほんと」

「自分からです。はい、しりとり」

強引に開幕すんのやめなさいよ。やるけどさ。

「りんご」

「ごま」

「マリン」

………あっ!?つい癖で!!反射的に!!

「はい海雪さんの負けー」

「違うの!マリンスノーって言おうとしたの!」

「完全にマリンで止まってましたよ」

「負けました」

誤魔化せんかったちくしょー。はいはい認めますとも。次は絶対勝つ…。

「次俺様からな!しりとり!」

「リコーダー」

「だるま!」

「マラカス」

「助っ人!」

「トライアングル」

なんでセルフ楽器縛りみたいな事してんの!?


…それからも戦いは続いた。

「スイカ!」

さっきは凡ミスやらかしたけど、良い感じに渡り合えてる!と思ってたら。


「海雪さん」


マリンは、ふわっと笑ってそう言った。

「え…えっと…ファイナルアンサー…?」

「イェス。自分の負けでいいですよ」

「なんでそんな可愛い事すんの…?」

「海雪さんがさっき自滅してたのが面白かったので、手法をパクりました」

「左様ですか…」

「楽しかったですね。しりとり」

「はい…」

やっぱりマリンには勝てないや。
内心白旗を上げながら、俺様は天井を見つめた。

…頬の火照りは、当分取れそうにない。